台湾の入国カード偽ホームページと振り込み詐欺に注意
公開日:2025-12-12 更新日:2025-12-12
台湾旅行の前に、ネットで「入国カード」「Taiwan Arrival Card」などと検索すると、
本物そっくりの偽サイトが出てきて、そこから振り込みやクレジットカードの不正請求につながる事案が出ています。
1. 今どんな状況?(状況)
- 台湾では、紙の入国カードの代わりに、事前にネットで登録する**オンライン入国カード「Taiwan Arrival Card(TWAC)」**が導入されています。
- 本来、この登録は 完全に無料 で、公式サイトも決まっています。
- ところが最近、
- デザインやロゴを本物そっくりにまねた偽サイト
- 検索結果や広告から誘導してくる偽サイト
が見つかり、そこから「手数料」名目で支払いをさせたり、カード番号を盗み取る被害が報告されています。
- 日本の台湾関連機関や外務省も、「日本人旅行者がだまされている」として注意喚起を出しています。
2. なぜこんなことが起きているのか(原因)
新しい仕組みで、みんながよく知らない
- 「紙の入国カードがなくなる」「事前にオンライン登録が必要」など、制度が変わったタイミングは、どうしても情報が混乱しがちです。
- 「よく分からないけど、とりあえず一番上に出てきたサイトから登録しよう」という人を、詐欺グループが狙っています。
「お役所っぽい見た目」に弱い
- 国旗や役所のマーク、英語や中国語のロゴが並ぶと、「本物っぽく」見えてしまいます。
- アドレス(URL)が公式と違っていても、細かく確認する習慣がない人が多いため、だまされやすくなります。
スマホでの操作が中心になった
- 文字が小さく、アドレスバーも短く表示されがちで、URLの違いに気付きにくい環境になっています。
- また、SNS や広告など「リンクをタップするだけ」の世界に慣れているため、「本当に公式サイトか?」と疑う癖がつきにくいのも一因です。
3. 何が問題なのか(問題定義)
お金の被害
- 「手数料」「サービス料」などの名目で、数千円〜数万円をだまし取られる可能性があります。
- クレジットカード番号を入力してしまうと、後日別の買い物に使われてしまうおそれもあります。
個人情報の流出
- 入国カードには、
- 氏名・生年月日・パスポート番号
- 連絡先(電話番号・メールアドレス)
- 宿泊先の住所
など、かなり細かい個人情報を書きます。
- これが犯罪グループの手に渡ると、
- なりすまし
- 別の詐欺に使われる電話やメール
など、二次被害につながる危険があります。
公共サービスへの信頼低下
- 「台湾の入国って、危ないんじゃないか」
- 「オンライン手続きは怖い」
と感じる人が増えると、正しいデジタル化の取り組みまで信用されなくなってしまうのも大きな問題です。
4. これからどうなりそう?(予測)
- 偽サイトはしばらく出続ける
一度「うまくいった詐欺の手口」は、世界中でマネされやすく、しばらくの間、URLやデザインを変えながら次々と現れる可能性があります。 - AIで見た目だけ本物そっくり、というパターンも増加
ロゴや文章、画像が自動生成で作れる時代なので、「素人には本物との見分けがつかない」偽サイトが増えると考えられます。 - 各国の入国手続きでも同様の問題が広がる可能性
すでに欧米やアジア各国でも、電子ビザやオンライン入国申請をかたる偽サイトが問題になっており、台湾だけの問題ではなくなっています。
5. どう守る?(会社として・私たちとして)
5-1. 会社・旅行業界ができること
- 公式URLをはっきり案内する
- 航空会社、旅行会社、観光情報サイトは、パンフレットや予約確認メール、Webページに「公式の入国カード登録サイト」のURLを必ず掲載する。
- 偽サイト情報を共有する
- 被害が確認された偽サイトのURLを、
- 社内のカウンター、コールセンター向けFAQ
- 自社サイトやSNS
で共有し、「ここでは絶対に登録しないで」と注意を促す。
- 被害が確認された偽サイトのURLを、
- 検索エンジンやSNSへの通報
- 偽広告や偽サイトを見つけたら、検索エンジンやSNSの通報機能を使ってブロックを依頼する。
- 高齢者向けにも分かりやすい説明を
- 文字を大きくしたチラシや、テレビ・ラジオでの啓発など、ネットに不慣れな層にも届く形での情報発信が重要です。
5-2. 私たち一人ひとりができること
- 「入国カードは無料」と覚えておく
- 手数料や登録料を請求されたら、「おかしい」と疑う。
- URL(アドレス)を必ず確認する
- 「.gov.tw」など、台湾政府の公式ドメインになっているかをチェックする。
- 検索結果の「一番上=本物」と思わない
- 広告枠は、詐欺サイトでもお金を払えば表示できてしまうため、公式サイトかどうかを自分で見極める必要があります。
- 困ったら一人で決めずに相談
- 家族や詳しい友人、旅行会社に「これで合ってる?」と一言確認するだけでも、被害を防げることがあります。
6. 私たち・社会への影響
個人レベル
- 旅行前にお金と時間を奪われ、せっかくの旅行が台無しになる。
- カード再発行や警察への相談など、精神的な負担も大きい。
社会レベル
- 「海外旅行は怖い」というイメージが広がると、観光業全体にマイナス。
- デジタル手続きへの不信感が高まり、行政のオンライン化が進みにくくなる。
台湾と日本の信頼関係への影響
- 「台湾が危ない」のではなく、「台湾をかたる詐欺」が問題なのですが、ニュースだけを見て誤解する人もいます。
- 正しい情報発信をしないと、日台の観光交流やビジネスにも影響が出かねません。
7. 株価への影響
この問題自体は、特定の上場企業だけの不祥事ではなく、犯罪グループによる不正行為です。
そのため、すぐに目立った株価の乱高下が起きるとは考えにくいです。
ただし、次のような間接的な影響はあり得ます。
- 偽サイト被害のニュースが大きく取り上げられ、
「台湾旅行は不安だ」というイメージが広がると、- 航空会社
- 旅行会社
- 観光関連の企業
などの業績や株価に、じわじわとマイナスの影響が出る可能性があります。
- 一方で、セキュリティ対策やフィッシング対策サービスを提供する企業には、需要増という形でプラスに働くこともあります。
しかし現時点では、個別の企業の株価が長期的に大きく揺れるほどの要因になるかどうかは不透明です。
8. 今後の見通し(回復までの時間)
ここでいう「回復」とは、
- 旅行者が安心してオンライン入国手続きを使えるようになること
- 「台湾旅行=危ない」という誤解が解けること
を指します。
短期(〜数か月)
- 台湾政府や日本の機関、旅行会社などが継続的に注意喚起を行えば、
「公式サイトのURL」が徐々に浸透し、偽サイトに引っかかる人は減っていくと考えられます。
中期(半年〜数年)
- ブラウザや検索エンジン側の技術的対策(偽サイトの自動検知・警告表示など)が進めば、
一定レベルまでは被害を抑え込むことが期待できます。 - ただし、詐欺グループ側も手口を変えてくるため、**「完全になくなる」よりも「いたちごっこが続く」**可能性の方が高いでしょう。
長期的には「リテラシーの底上げ」が鍵
- 一人ひとりが、「公式サイトかどうか確認する習慣」を身につけるかどうかが本質的な対策です。
- 学校教育や地域の講座、テレビ番組などを通じて、**デジタル時代の「自分の身を守る力」**を育てていく必要があります。
9. 同様の事例との比較
- 台湾の入国カード偽サイトとよく似たケースとして、
- 各国の電子ビザ(e-Visa)
- アメリカのESTA
- ヨーロッパ各国のオンライン入国手続き
を名乗る偽サイトが、これまでも世界中で問題になってきました。
- どのケースでも共通しているのは、
- 「公式っぽい見た目のサイト」を作る
- 検索広告やSNS広告を使って集客する
- 「手数料」「サービス料」として支払いをさせたり、カード情報を抜き取る
という流れです。
- つまり、国やサービス名が違っても、根本の「パターン」はほとんど同じだと言えます。
10. まとめ
- 台湾のオンライン入国カード(Taiwan Arrival Card/TWAC)をかたる偽サイトが現れ、
- 手数料の名目での振り込み・カード決済
- パスポート番号などの個人情報の盗み取り
といった被害が出ています。
- 本来、台湾の入国カードのオンライン登録は完全に無料で、公式サイトのURLも決まっています。
- 「検索結果の一番上」「それっぽいロゴ」だけを信用せず、
- URLを確認する
- お金の支払いを求められたら必ず疑う
- 困ったら家族や旅行会社に相談する
といった基本を守ることが何より大切です。
- この問題は台湾だけでなく、世界中で起きている「デジタル時代ならではの新しい詐欺」です。
一人ひとりが少しずつ知識を身につけ、「だまされにくい社会」を作っていくことが求められています。