「パスワード」と「パスキー」のちがい
公開日:2025-11-19 更新日:2025-11-19
1. パスワードってなに?
- 私たちがふだん使っている「ログイン用のヒミツの文字列」です。
例)taro2025、ABcd1234!など - 「自分で考えて」「自分で覚えて」「自分の手で入力する」ものです。
- 同じパスワードをいろいろなサービスで使い回してしまう人が多く、 それが大きな問題になっています。
パスワードの弱点
- 盗まれやすい
- メールの「なりすまし」サイト(フィッシング)に入力してしまう
- サービス会社から情報が流出してしまう
- 覚えきれない
- サービスの数が多すぎて、強いパスワードを全部覚えるのはほぼムリ
- つい手を抜きがち
- 「誕生日+名前」など、推測されやすいパスワードにしがち
2. パスキーってなに?
- パスワードの代わりに使うための新しいカギです。
- 覚える必要はなく、スマホやパソコンの中にしまわれています。
- ログインするときは、スマホの
- 指紋認証
- 顔認証
- 画面ロックの暗証番号(PIN) などでロックを外して使います。
ざっくりいうと…
- パスワード:
- 「ヒミツの言葉」を自分で覚えて、毎回入力する。
- パスキー:
- 「ヒミツのカギ」はスマホやPCの中。
- 自分は指紋や顔などでロックを外すだけ。
スマホが**「カギ束」**になっていて、
いろんなサービスのカギをまとめて管理しているイメージです。
3. しくみのちがい(イメージだけ)
技術的には「公開鍵暗号」というしくみを使っていますが、
むずかしい数式はおいておき、イメージだけつかみましょう。
パスワード方式
- お店(サービス会社)は、あなたのパスワード情報をサーバーに保存します。
- サーバーが破られると、たくさんの人のパスワードが一気に盗まれるおそれがあります。
パスキー方式
- あなたのスマホやPCの中に「ヒミツのカギ(秘密鍵)」が入っています。
- サービス側は「合いカギ(公開鍵)」だけを持っています。
- ログインのときは、
- サービスが「本物かどうかチェックして」とスマホにお願いする
- スマホが秘密のカギで「はい、本物の本人ですよ」という証明を返す
- パスワードのようなヒミツの言葉がサービス側に保存されないので、
サービスのサーバーが破られても、あなたのカギは基本的に盗まれません。
4. いま(現状)どうなっている?
- 世界中の大手サービス(Google、Apple、Microsoft、Amazon、X/Twitter、TikTok など)が
パスキー対応をすすめています。 - スマホ(iPhone、Android)や、パソコン(Windows、Mac)のOS、
ブラウザ(Chrome、Safari、Edge など)もパスキー対応が進んでいます。 - ただし、
- まだ「パスワード」と「パスキー」がえらべる状態のサービスが多い
- すべてのサイトが対応しているわけではない
- そのため、しばらくは
「パスワードの世界」と「パスキーの世界」が混在している状態が続きます。
5. なにがそんなにすごいの?(メリット)
セキュリティ面
- フィッシング詐欺に強い
- にせのログイン画面(URLのちがうサイト)では、
ブラウザやスマホが「いつものサイトじゃない」と気づき、
パスキーを出してくれません。
- にせのログイン画面(URLのちがうサイト)では、
- 総当たり攻撃・推測に強い
- そもそも人間が覚えられるような「言葉」ではないので、
「誕生日」「123456」などを当てられる心配がありません。
- そもそも人間が覚えられるような「言葉」ではないので、
- サービス側が情報を抱え込みにくい
- サーバーに「パスワードの一覧」を持たなくてよくなるので、
大量流出リスクが小さくなります。
- サーバーに「パスワードの一覧」を持たなくてよくなるので、
使い勝手
- IDとパスワードを入力するよりも
- スマホに表示される「OK」をタップしたり
- 指紋センサーに触れたり するだけなので、ログインが速くて楽です。
6. これから(将来展望)はどうなる?
世界の流れ
- Apple・Google・Microsoft などの大企業がパスキー推しになっています。
- 大手のネットサービスも、ログイン方法として
「パスキーをおすすめ」する流れが強まっています。 - セキュリティの専門家のあいだでは
「長期的にはパスワード中心の時代は終わるだろう」
という見方が主流になりつつあります。
ただし、すぐにパスワードが消えるわけではない
- 古いシステムや、特殊な業務システムは、
すぐにはパスキーに対応できない場合も多いです。 - スマホを持たない人・指紋や顔認証を使いたくない人もいます。
- そのため、**今後 5〜10年くらいは「共存期間」**が続くと考えられます。
将来イメージ
- 日常的に使う大手サービス
(メール、SNS、ネットショッピング、クラウドサービスなど)は
多くがパスキー中心になる。 - パスワードは
- どうしても古いシステムにログインするとき
- 特別な業務用システム など、**一部の場面だけで使われる“昔の仕組み”**になっていくかもしれません。
7. 私たちはどうしたらいい?(視聴者向けアクション)
- 自分のよく使うサービスが「パスキー対応」か確認してみる
- ログイン画面や「設定」「セキュリティ」メニューをチェック。
- 対応していれば、まずは 1〜2 サービスで試してみる
- たとえば「メール」と「よく使う通販サイト」など、
生活に大事なサービスから順番に。
- たとえば「メール」と「よく使う通販サイト」など、
- パスワードも、当分はしっかり管理を続ける
- パスワード管理アプリ(マネージャー)を使う
- 2段階認証(ワンタイムコードなど)をオンにしておく
- 家族にも教える
- 中学生〜高校生には「フィッシングに強いんだよ」と伝える
- 定年世代には「スマホの指紋でログインできる、ラクな仕組み」と説明する
8. まとめ
- パスワード
- 自分で覚える「ヒミツの言葉」
- 盗まれやすく、覚えきれないという弱点がある
- パスキー
- スマホやPCの中にある「ヒミツのカギ」
- 指紋や顔などでロックを外して使う
- フィッシング詐欺や情報流出に強い
世界の大きな流れとしては、
**「パスワード中心 → パスキー中心」**にゆっくりと動き始めています。
とはいえ、パスワードがすぐになくなるわけではありません。
これからしばらくのあいだは、
「パスキーを使えるところから少しずつ移行しつつ、
パスワードもきちんと守る」
というのが、現実的で安全なスタンスです。
テレビを見ているみなさんも、
「スマホが自分のカギ束になる時代」だと思って、
少しずつ新しい仕組みに慣れていきましょう。