緊急地震速報の誤報、なぜ起きた? もう再発しないの?


公開日:2026-10-24 更新日:2026-10-24

一般向け

「大きな地震が来ると思って身構えたのに、速報が取り消された。何が間違ったの? 次は信じて大丈夫?」

2026年10月16日の緊急地震速報をめぐって、そんな疑問を持った人もいるでしょう。

今回の問題への緊急対策は行われました。ただし、今後すべての誤報がなくなると確認されたわけではありません。 何がわかり、何が調査中なのかを整理します。

※2026年10月24日(日本時間)に確認した資料・報道に基づく解説です。

状況(何が起きたの?)

10月16日12時40分、北海道から中部地方の広い範囲に緊急地震速報が出され、その後、取り消されました。

地震そのものがなかったわけではありません。気象庁の当日の資料では、カムチャツカ半島付近でマグニチュード6.9(速報値)の地震が起き、函館市で震度1を観測したとされています。

ところが速報の計算では、震源を千島列島とし、地震の規模をマグニチュード9.9と大きく見積もってしまいました。出典:気象庁の第1報・添付資料、取り消しについてのTBS NEWS DIGの報道

ここで、マグニチュードは地震そのものの規模、震度はその場所での揺れの強さ を表します。今回の問題は、規模や揺れを実際より大きく予測したことです。

原因(どうして大きく見積もったの?)

気象庁の第2報・第3報では、主に次の点が説明されています。

  • 遠い地震に、国内向けの計算式を使ってしまった。 日本から非常に遠い場所の地震に、国内用の規模を求める式を適用しました。
  • 計算に使う震源がそろっていなかった。 地震の規模を計算するときと、各地の揺れを予測するときとで、本来同じにすべき震源が異なっていました。
  • 不適切なデータを除く機能が正常に動かなかった。 震源から700km以上離れた観測点のデータを、規模の計算に使わないための機能です。

この機能は、2020年の鳥島近海の地震で起きた過大予測を受けた改善策でした。それなのに、今回の計算では働いていませんでした。出典:気象庁の第2報、第3報

ただし、なぜその機能が正常に動かなかったのかまで、すべて解明されたわけではありません。 10月21日のTBS NEWS DIGの報道でも、いつから本来使わないデータが使われていたかなど、詳細な調査が続いていると伝えられています。出典:TBS NEWS DIG、10月21日

なお、10月20日の国土交通相会見では、サイバー攻撃とは異なる要因と判断し、発表前後の不正アクセスも確認されていないと説明しています。コンピューターの不具合を、直ちに攻撃と結び付ける必要はありません。出典:国土交通省の会見要旨

問題定義(何が問題なの?)

速報を受けて安全を確保した人や、運行に影響を受けた交通機関があります。国土交通省も、新幹線などへの影響を認めています。出典:10月20日の会見要旨

私が重く見るのは、過去の問題を受けて用意した対策が、今回、正常に働かなかったこと です。

緊急地震速報は短い時間の観測から予測するため、誤差があります。しかし、その仕組み上の限界と、用意した対策が動かなかった問題は、分けて考える必要があります。

また、誤報が続けば「次も間違いかもしれない」と、身を守る行動が遅れる心配もあります。精度の改善と、何を直したかの説明の両方が大切です。

対策は済んだの? もう再発しない?

気象庁は10月16日21時30分ごろ、遠い観測点のデータを除く機能が動くよう、緊急対策を行いました。そして、今回の地震に対して、誤った警報が出なくなること を確認したと発表しています。出典:気象庁の第3報

これは重要な確認です。ただし、確認した今回の事例と、これから起きるすべての地震は同じ条件ではありません。

緊急地震速報は、地震を検知してから、強い揺れが来るまでのわずかな時間で計算する仕組みです。震源に近い場所では間に合わないことがあり、予想した揺れにも誤差が出ます。出典:気象庁「緊急地震速報の特性や限界、利用上の注意」

そのため、「直したから絶対に誤報はない」とも、「どうせ間違うから使えない」とも言えません。今後の発表では、機能が動かなかった理由と、別の条件でも問題が起きないかの点検結果を確認したいところです。

対策(運営する側・会社として)

ここからは、公開資料を踏まえて私が必要だと考える備えです。

システムを運営する側には、原因の調査に加え、過去に追加した対策が実際に働くか、必要な警報まで止めてしまわないかを確かめ、結果を説明することが求められます。

速報を利用する会社や施設では、職員や利用者の安全確保、機械を止める判断、点検後に再開する手順を確認しておきたいところです。誤報だったからといって、次の警報を無視する運用に変えるのは危険です。

対策(私たちは、次にどうすればいい?)

速報が鳴ったら、誤報かどうかを調べる前に、まず身を守りましょう。 気象庁も、周囲の状況に合わせて安全を確保するよう案内しています。

  • 家の中では、頭を守り、丈夫な机の下など安全な場所へ。あわてて外に飛び出さない。
  • 駅や店などでは、あわてて出口へ走らず、係員の案内に従う。
  • 安全を確保してから、気象庁やテレビ・ラジオなどで、その後の情報を確認する。

ふだんから家具を固定し、家族や学校・職場で行動を確認しておくことも役立ちます。出典:気象庁「緊急地震速報を見聞きしたときは」

まとめ

  • 今回は、実際の地震に対して規模や揺れを大きく見積もった事案です。計算方法や、データを除く機能に問題がありました。
  • 緊急対策は実施されましたが、詳しい調査は続いています。今回の事例での確認を、将来のあらゆる誤報がなくなる保証とは考えないことが大切です。
  • 次に速報が鳴ったときも、まず身の安全を確保しましょう。誤報を減らす改善を求めることと、速報を生かして身を守ることは、両立します。