CTF(シーティーエフ)ってなに?──サイバー世界の『宝探しゲーム』
公開日:2025-11-30 更新日:2025-11-30
1. まずはざっくり
- CTF(シーティーエフ) は Capture The Flag(キャプチャ・ザ・フラッグ)の略です。
- 直訳すると「旗をうばえ」ですが、ここでは
コンピューターの知識を使って、隠された答え(フラグ)を見つけるゲーム のことを指します。 - ただのゲームではなく、**サイバー攻撃・防御の練習(教育・訓練)**として世界中で使われています。
テレビでいうと、
「謎解きクイズ番組」+「サイバーセキュリティ教室」を足したようなイメージです。
2. ゲームなの?教育なの?
ゲームの側面
- チームや個人で参加し、時間内にできるだけ多くの問題を解きます。
- 問題を解くと「フラグ」と呼ばれる文字列が手に入り、それをサイトに入力すると得点が入ります。
- 得点はリアルタイムでランキングに反映されるので、eスポーツの大会のような盛り上がりになります。
教育・訓練の側面
- 出題される内容は、実際のサイバー攻撃や防御の技術がベースになっています。
- 不審なプログラムの解析
- 暗号化されたデータの解読
- ネットワーク通信の調査 など
- 企業や大学、政府機関が、
セキュリティ人材の発掘・育成のために CTF を開催しています。 - 学生向けのブートキャンプ(合宿)で、最後にCTFをやって実力を試す、という形もよくあります。
つまりCTFは、
「遊んでいるうちに、実はかなり本格的なセキュリティ技術を学んでいる」
そんな仕組みになっています。
3. どんな問題が出るの?
専門用語はできるだけ省いて、イメージだけ説明します。
- Webサイトの穴さがし
- わざと弱点のある練習用サイトにアクセスし、「ここから情報が抜き取れそうだ」というポイントを探し当てます。
- 暗号解読パズル
- ぐちゃぐちゃに見える文字列や画像から、特定のルールを見つけて元のメッセージを取り出します。
- デジカメ写真・ファイルの調査
- 写真やファイルに隠された情報(撮影場所、作ったソフトなど)を読み取って、手がかりにします。
- パソコンの中の“動き”を調べる問題
- ログと呼ばれる記録を見て、「どこから侵入されたのか?」「何をされたのか?」を推理します。
どれも 現実のサイバー事件で使われる考え方を、危険がない練習環境で体験するものです。
4. 危なくないの?
「ハッキングの大会」と聞くと、ちょっと怖く感じるかもしれませんが、
きちんと運営されているCTFは、次のようなルールになっています。
- 問題用に用意された 専用のサーバーや仮想環境だけ を触る。
- インターネット上の「関係ないサイト」や「一般のサービス」を攻撃してはいけない。
- 攻撃テクニックそのものより、
「どう守るか」「どう見抜くか」も含めてきちんと学ぶことを目的にしている。
つまり、
現実のシステムには手を出さず、
「砂場(サンドボックス)」の中だけで思い切り練習する
というのがCTFです。
5. どういうソフトを使うと運営できるの?
CTFを開くには、参加者がログインして問題を解き、得点を管理するための
専用のWebシステムがあると便利です。
代表的なものを、できるだけやさしく紹介します。
5-1. CTFd(シーティーエフディー)
- 世界中でよく使われている CTF用のWebプラットフォーム。
- オープンソース(無料で使えるソフト)として公開されています。
- 管理画面から
- ユーザー登録
- 問題の追加
- フラグ(答え)の設定
- ランキング表示
などがまとめてできます。
小さな勉強会から大きな国際大会まで、
「CTFサイトを一から自作しなくても、これ1つでかなり揃う」 という位置づけです。
5-2. RootTheBox(ルート・ザ・ボックス)
- こちらもオープンソースのCTF用プラットフォームです。
- 「ハッカーゲーム」的な雰囲気があり、
- 会社を買収する
- お金を稼ぐ
といった演出を交えて、ゲーム色を強めた設計になっています。
- 初心者から上級者まで楽しめるように工夫されていて、
教育機関や勉強会などで使われています。
5-3. そのほかのプラットフォーム
- 世界にはほかにも、以下のような仕組みがあります。
- Mellivora(メリヴォラ)
- NightShade(ナイトシェイド)
- 企業や大学が自前で作ったCTFサイト など
- どれも
- 問題の登録
- フラグ(答え)の判定
- 得点・ランキングの表示
といった基本機能は共通しています。
5-4. 小さく始めるなら
- 身近な例としては、
- 練習用の「脆弱(ぜいじゃく)なWebアプリ」をCTFモードで動かし、
- 上に紹介したようなプラットフォームと組み合わせて、
- クラブ活動や社内勉強会で簡易CTFを開く
といったやり方もあります。
- まずは少人数で試してみて、慣れてきたら規模を大きくする、という進め方が一般的です。
6. まとめ──視聴者向けに言い直すと
- **CTFは、サイバー世界の「宝探しゲーム」**です。
- でも中身は本格的で、
サイバー攻撃・防御の技術を学ぶための教育・訓練の場として世界中で使われています。 - 専用のソフト(CTFd や RootTheBox など)を使えば、
学校や会社でも比較的かんたんにCTF大会を開けます。 - ルールを守り、安全な「砂場」の中で練習することで、
実際の社会を守るセキュリティ人材を育てることができます。
テレビで見かけたときには、
「難しそうな“ハッカー大会”」というよりも、
「将来の日本や世界を守る“サイバー消防士”を育てる場」
くらいのイメージで見てもらえると、ぐっと身近に感じられるはずです。